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釣りにライフジャケットは必要? ― 着用が推奨される理由と選び方

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白い柵の内側で、オレンジ色のベスト型ライフジャケットを着た人が、竿を持って海を見ている様子

釣りの最中に海へ落ちた場所で、いちばん多いのは磯ではなく防波堤です。

水産庁の「漁港における釣り利用・調整ガイドライン(案)」(2023年)は、海上保安庁の令和3年の調査として、海中転落の発生場所を防波堤38%、磯31%、岸壁20%、消波ブロック7%と紹介しています。

足場が平らで、柵のない堤防ほど、「落ちるはずがない」と思いやすい場所でもあります。

堤防での釣りにも、ライフジャケットを着けることが勧められています。

目次

堤防の釣りで着用が勧められる理由

着けていたかどうかで、助かる割合が大きく違う

同じガイドライン(案)によると、令和3年の釣り中の事故者は326人で、そのうち107人が死亡・行方不明でした。
事故の約76%が海中転落で、海中転落者のうち、ライフジャケットを着けていなかった人の44%、着けていた人の26%が死亡・行方不明になっています。
消費者庁が紹介した令和6年のまとめでも、非着用で約46%、着用で約19%と、同じ傾向の差が出ています。

夕焼けの堤防で、白い柵の内側にオレンジ色のライフジャケットを着て竿を持つ人が立っている様子

海上保安庁の「ウォーターセーフティガイド」(釣り編)は、ライフジャケットなしで救助を待つことは非常に困難だとしています。

落ちた直後は、岸に戻れなければ、浮いて助けを待つしかありません。

冬の海は冷たく、浮いていられる時間そのものが短くなります(水温の目安は冬の堤防釣りで釣れる魚と防寒対策)。

落ちるきっかけは、足を滑らせることだけではない

同じガイドライン(案)は、釣り中の事故の例として、防波堤を越えてくる波による転落、夜の見通しの悪い中での転落、消波ブロックの踏み外しを挙げています。

濡れた堤防の通路の横に、緑の藻に覆われた斜面が続いている様子

玉野海上保安部と港湾管理者は、投げた糸が通りかかった船に絡み、引っぱられた人がバランスを崩して海に落ちることもあると注意を呼びかけています。

どれも、慣れた釣り人にも起きることです。

「自分は気をつけているから大丈夫」ではなく、「落ちても浮いていられる」状態で竿を出すのが、ライフジャケットの役割です。

法律で義務になる範囲は、乗る船によって決まっている

国土交通省は、2018年2月から、小型船舶の船室外にいる乗船者全員に原則としてライフジャケットを着用させることを、船長の義務にしました。
遊漁船(釣り船)や、磯や沖の堤防へ渡る渡船に乗るときは、この対象になります。
一方、日本釣用品工業会のライフジャケット推奨表(海上保安庁のウォーターセーフティガイドに掲載)では、岸からの防波堤・磯・海釣り施設での釣りは「着用推奨」として、船の「着用義務」とは分けて示されています。

日本釣用品工業会の推奨表(2018年7月改定)の「渡船(磯等渡し)」の欄では、桜マークのタイプGなど浮力の小さいものでも着用義務の違反にはならないとしつつ、浮力7.5kg以上のものを勧めています。

12歳未満の子どもについては、国土交通省や日本小型船舶検査機構(JCI)に確かめるよう注記されています。

実際に渡船に乗るときは、どれを着ければよいか、船長や渡船店の案内に従ってください。

義務かどうかとは別に、着用を利用の条件にしている海釣り施設や、着用を呼びかける掲示を出している釣り場もあります。

現地の掲示と管理者の指示に従ってください。

子ども用を貸し出している施設もあるので、行く前に公式サイトで確かめておきます(施設の探し方は初心者向けの釣り場の探し方)。

固形式と膨張式の違い

比べるところ固形式膨張式
浮く仕組み中の浮力材で、着けた時点で浮くガスで袋が膨らんで浮く(水を感知する自動式と、ひもを引く手動式)
主な形前開きのチョッキ型腰に巻くベルト型、首に掛ける肩掛け型
良いところ交換部品が要らない、ポケット付きのものが多い薄く軽く、暑い時期も動きやすい
気をつけるところかさばり、夏は暑いボンベや作動部品に使用期限がある
向く場面初めての1着、子ども、磯や消波ブロックの近く足場のよい堤防で、軽さを優先したいとき

海上保安庁のガイドでも、固形式は落水してもすぐに浮き、膨張式はコンパクトで軽快に釣りができると、それぞれの特徴を挙げています。

オレンジ色の厚みのあるベスト型(左)と、細い首掛け型(右)の2種類のライフジャケットが、堤防の上に並べて置かれている様子

推奨表では、磯での釣りには固形式が勧められています。

初めての1着は固形式が扱いやすい

固形式は、落ちた瞬間から浮力が働き、膨らまないという心配がありません。

点検も、生地の破れやベルトの傷みを見るだけで済みます。

製品によっては、転んだときに首まわりが守られ、落ちたときに顔を水面の上に起こしやすい作りのものもあります(消波ブロックのまわりの危なさは穴釣りのやり方で扱っています)。

この記事で紹介した商品

日本船具 固形式救命胴衣 NS-10Z-2(大人用)

日本船具 固形式救命胴衣 NS-10Z-2(大人用)
タイプA・桜マーク(国土交通省型式承認)の固形式ライフジャケットです。
楽天 ¥8,900

※価格は記事執筆時点のものです。
購入前に最新価格をご確認ください。

膨張式を選ぶなら、点検と交換を前提にする

膨張式は、ボンベのガスで袋を膨らませる仕組みです。

推奨表は、膨張式は1年に1回、販売店を通じてメーカーに定期点検を依頼するよう呼びかけています。

自動で膨らむタイプは、湿気の多い場所や強い衝撃で作動することがあると注意書きしている商品もあります。

一度膨らんだら、メーカーの説明書どおりにボンベなどの部品を交換するまで、浮力は戻りません。

この記事で紹介した商品

BASARO AIRLEGATO 手動膨張式ライフジャケット(タイプA・桜マーク)

BASARO AIRLEGATO 手動膨張式ライフジャケット(タイプA・桜マーク)
国土交通省型式承認品(桜マーク・タイプA)の手動膨張式ライフジャケットです。
Amazon ¥9,980

※価格は記事執筆時点のものです。
購入前に最新価格をご確認ください。

選ぶときに確かめる表示

桜マークは、国の安全基準に合格した印

ライフジャケットの中には、桜の形をした「桜マーク」が付いたものがあります。

オレンジ色のライフジャケットの肩付近に、桜の花のマークの布タグが縫い付けられている様子

国土交通省の説明では、桜マークは型式承認試験と検定に合格した印で、小型船舶で使う安全基準に合っていることを示します。

JCIの案内では、浮力はタイプA〜Fが7.5kg以上、浮力補助具のタイプGが5.85kg以上とされ、子ども用は体重に応じて15kg以上40kg未満で5kg以上、15kg未満で4kg以上と決められています。

桜マークの付いたものの中でも「タイプA」「タイプD」などの区分があり、乗れる船の種類が違います。

釣り船や渡船に乗る予定もあるなら、どの船でも使えるタイプAを選んでおくと、岸と船で1着を使い回せます。

推奨表では、JCIの性能鑑定に適合したレジャー用(固形式)も、防波堤での着用推奨に挙げられています。

体に合う大きさを、釣りの服装で試す

海上保安庁のガイドは、自分の体に合ったライフジャケットを選ぶよう呼びかけています。

推奨表も、夏と冬では服の厚みで着るサイズが変わるとしています。

買うときは、冬に着る上着の上から試着し、ベルトを締めたまま腕を上げて竿を振る動作をしてみます。

窮屈で投げにくければ1つ大きいサイズを、締めても体との間にすき間が残るなら1つ小さいサイズを検討します。

この記事で紹介した商品

Bluestorm 子ども用救命胴衣 BSJ-212C(Mサイズ・身長100〜120cm)

Bluestorm 子ども用救命胴衣 BSJ-212C(Mサイズ・身長100〜120cm)
桜マーク付き・型式承認品の、固形式の子ども用ライフジャケットです。
Amazon ¥7,682 / 楽天 ¥6,400

※価格は記事執筆時点のものです。
購入前に最新価格をご確認ください。

ポケットの中身で、浮力は減る

推奨表は、浮力の表示はポケットに何も入れていない状態の値で、メタルジグやオモリを入れすぎると浮力に影響が出るとしています。

ポケットには、スマートフォンや笛など軽いものを入れ、重い仕掛けはバッグに分けておきます。

正しい着け方

消費者庁は、東京都の検証実験として、ベルトがゆるかったり、体より大きすぎたりすると、浮いたときに口が水面から出ないことがあると伝えています。

STEP1
いちばん外側に着る

上着の上から着けます。

上着の下に着ると、膨張式は正しく膨らまないことがあり、固形式も体からずれやすくなります。

STEP2
ファスナーとバックルを閉め、胴のベルトを締める

体にぴったり合うまで締めます。

冬は厚着、夏は薄着になるので、季節ごとに締め直します。

STEP3
股ベルトを締める

股ベルトのあるものは、落ちたときに体から抜けないよう締めた状態で使います。

子どもは体がやわらかく脱げやすいため、股ベルト付きのものを選びます。

STEP4
肩の部分を持ち上げて確かめる

誰かに肩のところを持ち上げてもらい、ずり上がらなければ、体に合っています。

上着とライフジャケットの重ね方は、堤防釣りの持ち物と服装チェックリストの服装の項目でも扱っています。

防寒着の上にオレンジ色のライフジャケットを着た人の胴体で、胸のベルトと股ベルトが留められている様子

出かける前の点検

海上保安庁のガイドは、着ける前の自主点検と、取扱説明書に沿った定期的な点検を求めています。

玄関を出る前に、次の4つを見ておきます。

  • 固形式:生地の破れ、バックル・ファスナー・ベルトの傷みがないか
  • 膨張式:ボンベやボビンが使用済みになっていないか、壊れていないか、部品の期限が切れていないか
  • 笛が付いているか:海上保安庁のガイドでも、落ちたときに気づいてもらうために笛が有効とされている
  • スマートフォンを防水ケースに入れたか:海での事故や落水者を見たときの通報は118番(海上保安庁)

フィッシュグリップやプライヤーのような重さのある小物は、ポケットではなくバッグに入れて持っていきます(毒のある魚に使う場面は釣れて危ない魚の見分け方と対処)。

広げたオレンジ色の膨張式ライフジャケットと、その横に置かれた小さなガスボンベ

よくある疑問

落ちた人を見つけたら、どうすればいいですか?

自分は海に飛び込まず、118番に通報し、浮くものを相手の手の届くところへ投げ入れます。

海上保安庁は、クーラーボックスや大きめのペットボトル(水を少し入れてキャップを閉める)なども浮くものとして使えると案内しています。

通報では、事故の内容、場所、人数、自分の名前と連絡先を伝えます。

子ども用は、どう選べばいいですか?

子ども用は体重で区分されているので、年齢ではなく体重で選びます。

股ベルトの付いた固形式にし、海上保安庁のガイドにあるとおり、子どもが着けたら大人が着け方を確かめます。

消費者庁は、着るのを嫌がる子には、プールでの練習や体験教室で慣れておく方法を紹介しています。

近所の堤防で、すぐ帰るつもりでも着けた方がいいですか?

落ちるかどうかは、釣りの時間の長さとは関係がありません。

釣り場に着いたら、竿を出す前に着けてしまう方が、着け忘れがありません。

そもそも落ちやすい場所に近づかないことも、ライフジャケットと同じくらい大事な備えです。

立入禁止や夜間閉鎖の掲示の読み方は、釣り禁止・立入禁止の見分け方と釣り場のマナーで例を挙げています。

車に積んだままでは、浮かない

ライフジャケットは、持っていくだけでは働きません。

落ちる瞬間は予告なしにやってくるので、駐車場で車を降りたら、竿袋を開ける前に着て、股ベルトまで締めるところまでを、釣りの最初の手順にしてください。

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この記事を書いた人

堤防釣りの始め方・釣り方と仕掛け・魚種と季節・道具と安全を、釣具メーカーや釣具店、釣り施設、公的機関の公開情報をもとに調べ、比較・整理して発信している編集担当です。迷ったときに1記事で答えが出る形を心がけています。

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