同じアオリイカでも、春と秋では、狙うイカの大きさがまるで違います。
秋は、その年の夏に生まれた100〜200g前後の小さなイカ(新子)が中心です。
春は、産卵のために浅場へ寄ってくる大きな親イカが狙いになり、1kgを超えるものが混じることもあります。
エギングは、この2つの季節に合わせて「エギ(餌木)」の大きさを選び、投げて、しゃくって、沈めてイカに抱かせる釣りです。
エサを使わずに始められるため、サビキやちょい投げの次の釣りとして選ばれることもあります。
エギングとは ― 「エギ」の形としくみ
エギは、漢字で「餌木」と書く、日本で生まれたイカ釣りの道具です。
もともとは木を削って作った漁具で、エビに似せた形をしています。
今のエギング用のエギは、プラスチックなどの胴体に布を巻き、オモリを付けたものが主流です。

- 布と下地のテープ:表面に巻いた布の色と、その下のテープ(金・銀・赤など)の色の組み合わせで、水中での見え方が変わる
- オモリ(シンカー):頭の下側に付いていて、頭を少し下げた姿勢で、ゆっくり沈んでいく
- カンナ:尾の部分に、傘の骨のように並んだ針。
返し(かえし)がなく、抱きついたイカの腕(足)を引っかける
アオリイカは、エギを小魚やエビと思って腕で抱きつき、そのときにカンナが腕に掛かります。
「エギに抱かせる時間をつくる」ことが、エギングのいちばんの考えどころです。
アオリイカの時期 ― 春と秋の2つの山
| 季節 | イカの大きさの目安 | 釣りやすさ | エギの目安 |
|---|---|---|---|
| 春(4〜6月ごろ) | 大型の親イカ、1kgを超えることも | 数は少なく、警戒心が強い | 3.5〜4号 |
| 秋(9〜12月ごろ) | 小型の新子、100〜200g前後から | 数が多く、初めてでも釣りやすい | 2.5〜3号から、育つにつれ3.5号 |
アオリイカは、ふだんは比較的深い場所にいて、春から夏にかけて産卵のために浅場へ上がってきます。

生まれたイカは浅場で育ち、水温が下がると再び深い場所へ移ります。
徳島県の水産研究の資料では、アオリイカの寿命は約1年で、産卵を終えた親イカはそのまま死んでしまうことが紹介されています。
つまり、秋に釣れる新子が、翌年の春から夏に産卵する親イカになります。
産卵の時期は地域でずれ、ダイワのコラムでは関東周辺の産卵期を6月中旬〜8月いっぱいぐらいとしています。
春イカの始まりや秋の終わりは、地域で大きく違います。
冬は深い場所へ移るため、岸からは狙いにくくなる地域が多くあります。
アオリイカ以外の魚も月ごとに並べた目安は、堤防で釣れる魚の月別カレンダーにあります。
初めてのエギングは、数が多く、イカの警戒心もまだ薄い秋から入るのが向いています。
秋のうちにしゃくりと沈め方に慣れておくと、数は少なくても大きなイカが狙える春に、同じ動きのまま挑めます。
エギングに向く釣り場
アオリイカは、水深数mから50m前後の岩場や海藻の生えている場所に住むイカです。
岸から狙うなら、次のような条件がそろう堤防が目安になります。
- 足元や少し沖に、岩場や海藻の茂る場所がある
- 潮の通りがよい、堤防の先端や角に近い
- 水が澄んでいる日が多く、川の水が流れ込む場所から離れている
- エギングが禁止されていないことを、掲示や管理者の案内で確かめられる
堤防の上に、黒い墨の跡が残っていることがあります。

墨の跡は、最近そこでイカが釣れたことを示す手がかりの一つになります。
ただし、墨の跡が多い場所ほど人も集まりやすく、混雑した釣り場では投げる向きと間隔に気を配る必要があります。
岸から投げて探る釣りなので、エギはルアーの一種でもあり、ほかのルアーとの違いはルアーの種類と使い分けでも取り上げています。
エギのサイズ(号数)・重さ・色の選び方
号数は「1号=約3cm」が目安
エギの大きさは「号」で表し、1号がおよそ3cmを目安にした長さの単位です。

| 号数 | 長さの目安 | 重さの目安 | 向く時期・場面 |
|---|---|---|---|
| 2.5号 | 約7.5cm | 11g前後 | 秋の小さな新子 |
| 3.0号 | 約9cm | 16g前後 | 秋〜晩秋、浅い場所 |
| 3.5号 | 約10.5cm | 22g前後 | 春・秋の基準、迷ったらこれ |
| 4.0号 | 約12cm | 26g前後 | 春の大型、深い場所、風の強い日 |
表の重さは、ヤマシタの「エギ王 K」の公式スペック(2.5号11g・3号16g・3.5号22g・4号26g)を目安にしています。
重さはメーカーやモデルによって違い、同じ3.5号でも、浅場用は軽く、深場用は重く作られていることがあります。
一般的なタイプの3号以上は、1mあたり3秒前後で沈むものが多く(2.5号は1mあたり約5秒とゆっくり)、浅場用のゆっくり沈むタイプや、深場用の速く沈むタイプもあります。
最初の1本は3.5号にすると、春にも秋にも使え、ほとんどの釣り場に合わせやすくなります。
色は「布」と「下地」の組み合わせで考える
エギの色は、表面の布の色と、その下の下地テープの色の組み合わせで考えます。
色選びでよく使われる考え方は、晴れた日中や水の澄んだ日は自然な色や銀の下地、朝夕や曇り、濁った日はオレンジやピンクなど目立つ色や金の下地です。
イカが追ってきても抱かないときは、色を変えると反応が変わることがあります。
最初は、同じタイプのエギを色違いで2〜3個そろえると、しゃくったときの手応えが毎回同じになるので、潮の流れやアタリの小さな変化との違いが手元で分かります。
道具の目安
| 道具 | 目安 | 選ぶときのポイント |
|---|---|---|
| 竿(ロッド) | エギング用、長さ8ft前後(約2.4〜2.6m) | 3.5号のエギが使える表示(適合エギ号数)のもの |
| リール | スピニングリール2500〜3000番前後 | PEラインを巻いて使う |
| 道糸 | PEライン0.6〜0.8号前後 | 細く伸びが少ないので、しゃくりがエギに伝わりやすい |
| 先糸(リーダー) | フロロカーボン2〜2.5号、長さ1〜1.5mほど | 岩や歯でこすれたときの傷に強い |
| スナップ | エギ用の小さく軽いもの | エギの付け替えが早くなる |
PEラインと先糸は、電車結びでは結び目が滑って抜けやすいので、FGノットなどPE向けの結びでつなぎます。
FGノットは手順が多いので、釣りの結び方のよくある疑問にあるとおり、家で練習してから釣り場で使うのが無理のない順番です。
スナップを先にエギへ付けてから先糸に結ぶと、釣り場で小さな金具を指先だけでつまむ場面が減ります。
8ftや「適合エギ号数」といった竿の表示は釣り竿とリールの選び方で、0.6号の細いPEでもエギングに使える理由は釣り糸(ライン)の種類と選び方で読めます。
竿・リール・エギの値段は、入門向けから上位のモデルまで幅があり、時期や店によっても変わります。
しゃくり方と、イカに抱かせるまで
投げたら糸を出しながらエギを沈め、糸がふっとたるんだら底に着いた合図です。
着水から底に着くまでの秒数を数えておくと、その場所のおおよその深さが分かります。
リールを巻いて糸のたるみを取り、竿を素早く上へ2〜3回あおります。
これが「しゃくり」で、エギが上下左右に跳ねるように動き、イカに存在を気づかせます。
しゃくったら、糸を張りすぎないようにしてエギを沈めます。
イカがエギに抱きつくのは、沈んでいる間であることが多く、エギングの時間の大半はこの「待つ時間」です。
沈んでいる途中で糸が急に止まる、引き込まれる、横へ動くといった変化がアタリの合図です。
手元に重みが伝わることもあり、変化を感じたら竿をしっかり立てて合わせます。
竿を立て気味にして、糸を緩めないように同じ速さで巻きます。
大きなイカは無理に抜き上げず、玉網(たも網)ですくいます。

しゃくりでよくあるつまずき
しゃくり続けて、沈める時間がない
動かすことに夢中になると、イカが抱く間がなくなります。
しゃくった後は、数秒〜10秒ほど沈めて待ちます。
底を取らずに、浅いところだけを探っている
秋の新子は浅場でも見つかりますが、春の親イカは底の近くにいることが多くなります。
根掛かりのたびに竿を強く引く
糸を緩めて竿の角度を変え、軽くあおると外れることがあります。
外れないときに、PEラインを素手に巻きつけて引くと、指を切ることがあります。
糸を扱うときは手袋を着け、それでも外れなければ、ハサミなどでリーダー(先糸)の部分を切ります。
エギングで気をつけること
釣り上げたアオリイカは、墨を勢いよく吐くことがあります。
足元の堤防に付いた墨は、帰る前に海水をくんで流しておくと、次に来る釣り人とのトラブルを防げます。
朝夕のまずめ時や夜にエギングをするときは、ライフジャケットを着け、明るいうちに足場を確かめてから暗い時間に入ります。
墨の跡の多い人気の堤防ほど先端まで行きたくなりますが、立入禁止の柵の先には入りません(掲示の種類は釣り禁止・立入禁止の見分け方と釣り場のマナー)。
桜マークや浮力の表示など、ライフジャケットを選ぶときに見るところは釣りにライフジャケットは必要?で確かめられます。
よくある疑問
- エギは何個くらい持っていけばよいですか?
-
エギは根掛かりや糸切れで失いやすいので、使う号数を色違いで2〜3個と、予備を1〜2個持っていけば、1個なくしても釣りを続けられます。
1個の値段はメーカーやモデルによって幅があります。
- アオリイカ以外のイカも、エギで釣れますか?
-
コウイカ(スミイカ)やヤリイカなども、エギで狙われるイカです。
イカの種類によって、狙う時期や場所、底の探り方が違うので、狙うイカに合わせて情報を確かめてください。
- 夜でもエギングはできますか?
-
常夜灯のまわりなどで、夜にアオリイカを狙う釣り人もいます。
暗い時間は足元が見えにくくなるので、明るいうちに着いて足場を確かめておくことが前提になります。
秋の小さなイカは、春の親イカになる
アオリイカは1年ほどで一生を終えるイカで、秋に釣れる新子が、翌年の春から夏に卵を産む親イカになります。
秋に数が釣れる日ほど、持ち帰るのは食べる分だけにして、小さなイカは海に返すという考え方をする釣り人は少なくありません。
春の堤防で大きなアオリイカに出会えるかどうかは、前の年の秋の海とつながっています。
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