同じ糸に同じ金具を結んでも、結び方しだいで、切れるまでの強さが2倍以上違うことがあります。
糸は結び目のところで折れ曲がり、締め付けられるため、仕掛けの中でいちばん切れやすいのは、多くの場合「結び目」です。
魚が掛かった瞬間に手応えが消え、糸の先がちりちりに縮れて戻ってくるのは、結び目がほどけたか、結ぶときに糸を傷めたときによく見られる形です。
最初に覚える結びは、金具に結ぶユニノット、ルアーや針に結ぶダブル・クリンチノット、糸と糸をつなぐ電車結びの3つで、堤防の釣りのほとんどの場面に対応できます。
3つの結びと、使う場所
| 結び方 | つなぐもの | 使う場面の例 | 向く糸 |
|---|---|---|---|
| ユニノット | 糸と金具(スナップ・サルカン)、ルアー、針の穴 | サビキやちょい投げの仕掛けを付ける金具、ルアー | ナイロン・フロロカーボン |
| ダブル・クリンチノット | 糸とルアー、針の穴、金具 | ルアーや金具を手早く結びたいとき | ナイロン・フロロカーボンの細めの糸 |
| 電車結び | 糸と糸 | 道糸とハリス、道糸とリーダー(先糸)のつなぎ | ナイロン・フロロカーボン同士 |
PEライン(細い糸を編んだ糸)は表面が滑りやすく、ユニノットや電車結びでは結び目が滑って抜けやすくなります。
PEラインにリーダーをつなぐときは、FGノットなど、PEライン向けの結びが使われるのが一般的です。
ナイロン・フロロカーボン・PEのどれを巻くかで、使える結びも変わります(素材ごとの伸びや強さの違いは釣り糸(ライン)の種類と選び方)。
3つの結びに共通する準備
端糸(結ぶ側の糸の先)は15cmほど長めに出しておく
締め込む前に、結び目を水や唾で湿らせる(こすれて出る熱で糸が傷むのを防ぐ)
締めるときは一気に引かず、ゆっくり力を加える
余った端糸は2〜3mm残して切る
ユニノットの結び方
ユニノットは、糸で作った輪の中に端糸を通しながら巻き付けていく結び方です。

手順が少なく、強さも安定しやすいため、最初に覚える結びとしてよく紹介されます。
スナップやサルカンの輪(アイ)に糸を通し、端糸を15cmほど引き出します。
端糸を本線(リール側の糸)に沿わせて折り返し、本線と端糸が重なるところで指でつまんで輪を作ります。
端糸を輪の内側にくぐらせながら、本線と折り返した端糸の2本をまとめて巻き付けます。
これを4〜5回繰り返します。
巻いた部分を指で押さえ、結び目を湿らせてから、端糸をゆっくり引いて巻き目を締めます。
金具を持ち、本線を引いて結び目を金具の際まで滑らせ、しっかり締め込みます。
端糸を2〜3mm残して切ります。
巻き付ける回数は、細い糸ほど多め、太い糸ほど少なめにするのが目安です。
巻き数が少なすぎるとほどけやすく、多すぎると締め込むときに巻き目が重なってきれいに締まりません。
重いルアーを使うときなどに、もう少し強さがほしい場合は、糸を2本に折り返してから同じ手順で結ぶダブルユニノットという方法もあります。
金具が小さくて指でつまみにくいときは、スナップを開いて小指に引っ掛けておくと、両手が使えて巻きやすくなります。
ダブル・クリンチノットの結び方
クリンチノットは、端糸を本線にねじるように巻き付け、金具の際にできた輪に通して締める結び方です。

ルアーを付け替えるときに手早く結べるのが利点です。
付け替えのたびに結び直す手間を減らすなら、糸の先にスナップを付けておく方法もあります(ルアー選びとあわせてルアーの種類と使い分けで紹介しています)。
ただし、最後の一手間を省いた基本形は、結び目が滑りやすく、強さが大きく落ちる結びです。
本田技研工業の釣り情報サイト「Honda釣り倶楽部」が10lb(2.5号)のナイロン糸を各4回引いて比べた結果では、結ばない糸の強さを100%としたとき、基本形のクリンチノットは約26%、端糸をもう一度輪に通す改良型(インプルーブド・クリンチノット)でも約36%で、ユニノットの約68%を下回りました。
改良型まで結んでも、強さはユニノットの半分ほどにとどまるという点は覚えておきます。
同じ比較では、最初に金具へ糸を2回通す「ダブル・クリンチノット」が約84%と、ユニノットを上回る結果でした。
そこへ最後に端糸を大きな輪へもう一度通す一手間を加えた「インプルーブド・ダブル・クリンチノット」は、約88%でした。
クリンチノットで結ぶなら、金具に糸を2回通すダブル・クリンチノットにするか、強さを優先したい場面ではユニノットを選ぶのが無難です。
次の手順は、ダブル・クリンチノットに最後の一手間(STEP4)まで入れた結び方です。
どれも1種類の糸での比較なので、糸の種類や太さ、締め込み方で数字は変わります。
金具やルアーの輪に糸を2回通し、端糸を15cmほど出します。
ここで1回しか通さないと、強さが大きく落ちる基本形のクリンチノットになります。
端糸を本線に5回ほど巻き付けます。
金具を回して、ねじるように巻いてもかまいません。
巻き付けた端糸を戻し、金具のすぐ上にできた小さな輪に通します。
通したことで新しくできた大きな輪に、端糸をもう一度通します。
この一手間を入れると、インプルーブド・ダブル・クリンチノットになります。
結び目を湿らせ、端糸を軽く押さえながら本線をゆっくり引いて締め込みます。
端糸を2〜3mm残して切ります。
電車結びの結び方
電車結びは、2本の糸を重ね、それぞれの端糸で相手の糸にユニノットを結んで、2つの結び目を引き寄せる結び方です。

2つの結び目が寄っていく様子が電車の連結に似ていることから、この名前で呼ばれます。
つなぐ2本の糸の先を、互いに逆向きにして20cmほど重ねます。
片方の端糸で輪を作り、相手の糸と自分の糸の2本をまとめて、輪の中で4〜5回巻き付けます。
端糸を引いて、結び目を仮に締めます。
反対側の端糸でも、同じようにユニノットを結んで仮に締めます。
2つの結び目を湿らせ、両方の本線をゆっくり引いて、2つの結び目をぴったり寄せて締め込みます。
それぞれの端糸を2〜3mm残して切ります。
電車結びは覚えやすく、細かい作業がしにくい釣り場でも結びやすい一方で、強さはほかのつなぎ方より低めになりやすい結びです。
細い糸同士をつなぐときや、大きな魚を狙うときは、ほかの結び方も検討します。
堤防の釣りで電車結びを使うのは、道糸の先に別の糸(ハリスやリーダー)を足すときや、仕掛けの途中で切れた糸をつなぎ直すときです。
太さの違う2本をつなぐときは、細い方の糸の巻き数を1回ほど多めにすると、結び目が締まりやすくなります。
よくある失敗と直し方
結び目が白っぽく縮れている
湿らせずに締めて、こすれた熱で糸が傷んでいます。
見た目が変わった結び目は弱くなっているので、切って結び直します。

| 失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 巻き数が足りない | 引っ張ると結び目がほどける | 回数を数えながら巻く |
| 巻き目が重なっている | 締め込みがゆるく、ほどけやすい | 巻き目が1列に並ぶように、1回ずつ指で押さえて巻く |
| 端糸を短く切りすぎた | 締まりきっていない結び目から抜ける | 2〜3mm残して切る |
| 本線を先に強く引いた(ユニノット) | 結び目がうまくできずに崩れる | 端糸で結び目を作ってから本線を引く |
| PEラインを電車結びでつないだ | 結び目が滑って抜ける | PEライン向けの結びを使う |
結び目は、根掛かりを外したあとや魚を何匹か釣ったあとにも傷みます。
手で触って結び目の近くの糸がざらついていたら、その部分を切って結び直します。
結び方のよくある疑問
- 3つのうち、最初に1つだけ覚えるならどれですか?
-
ユニノットから覚える人が多い結びです。
金具・ルアー・針の穴のどれにも使え、電車結びもユニノットを2回結ぶだけなので、1つ覚えると2つ目までがまとめて身につきます。
- 針は自分で結ばないといけませんか?
-
サビキやちょい投げの市販の仕掛けは、針にハリスが結ばれた状態で売られているものがほとんどです。
最初は、道糸の先に金具を結ぶところだけ自分で結べれば、釣りを始められます。
サビキ仕掛けを袋から出して金具に付けるまでの流れは、サビキ釣りのやり方の手順が参考になります。
- FGノットは初心者でも結べますか?
-
手順が多く、慣れるまで時間がかかる結びです。
PEラインを使う釣り(ルアーの釣りなど)を始めるときに、動画や道具の説明書を見ながら、家で練習してから使うのが無理のない順番です。
結ぶのを助ける専用の道具も売られています。
- 結び目の強さは、糸の表示の強さと同じですか?
-
同じにはなりません。
糸のパッケージに書かれた強さは、結ばない状態の数字です。
結び目を作ると、結び方や結び具合によって、その数字より弱くなります。
結べたかを確かめる
結び終えたら、金具やルアーと本線を持って、強めに引いてほどけないかを確かめます。
このとき、糸を指や手に巻き付けて引くのはやめます。
細い糸は、強く引くと指に食い込み、切れた瞬間に手を傷めることがあります。
タオルで糸をはさんで持つか、糸を巻いたリールのハンドルを押さえて引くと安全です。
糸を切るのはハサミやラインカッターを使い、歯で噛み切らないようにします(釣りに持っていく小物は、堤防釣りの持ち物と服装チェックリストの必須の持ち物の項目にあります)。
釣り場に出る前に、家で結んでおく
釣り場では、風で糸があおられ、冬は指がかじかみ、夕方は手元が暗くなります。
家で余った糸とスナップを使い、3つの結びを10回ずつ結んで、強めに引いてもほどけないところまで練習しておくと、現地で結べずに止まる時間がなくなります。
最初の1回は、金具を付けた仕掛けを家で作っておき、釣り場では結び直す分だけを結ぶようにすると、そのぶん竿を出す時間を長く取れます。
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