魚が掛かった瞬間に、糸がプツンと切れる。
根掛かりでもないのに切れるときは、糸の素材・太さ・傷みのどれかが、その釣りに合っていないことが多くあります。
釣り糸の素材は、大きくナイロン・フロロカーボン・PEの3つに分かれます。
エサ釣りから始めるならナイロン、軽いルアーならフロロカーボン、遠くへ投げてしゃくる釣りならPEというのが、最初の大まかな分かれ目です。
3つの素材の違い
| 比べるところ | ナイロン | フロロカーボン | PE |
|---|---|---|---|
| 重さ(比重、水=1) | 1.14 | 1.78(よく沈む) | 1より小さい(水に浮く) |
| 伸び | よく伸びる | ナイロンより伸びにくい | ほとんど伸びない |
| こすれへの強さ | ふつう | 強い | 細いぶん傷に弱い |
| 扱いやすさ | しなやかで結びやすい | 硬く、巻きぐせが付きやすい | 先に別の糸(リーダー)を結ぶ手間がある |
| よく使われる場面 | エサ釣りの道糸 | ハリス、リーダー、軽いルアー | ルアー釣りの道糸 |
比重の数字のうち、ナイロン1.14とフロロカーボン1.78はダイワの解説、PEが水に浮くことは栃木県立馬頭高校水産科の「釣り用ラインの強度実験」の報告によります。
同じ素材でも、商品ごとに硬さや伸び方は少しずつ違います。

ナイロン:しなやかで、伸びが衝撃を吸収する
ナイロンはしなやかで結びやすく、値段も手ごろな、いちばん基本の糸です。
よく伸びるので、魚が急に引いたときの衝撃を糸が吸収し、初心者でも糸を切られにくいのが強みです。
その反面、伸びるぶん、遠くの小さなアタリは手元に伝わりにくくなります。
水を吸いやすい性質があり、使い続けるうちに少しずつ弱くなります。
フロロカーボン:沈みやすく、こすれに強い
フロロカーボンは、ナイロンより重く、水を吸いにくく、伸びにくい糸です。
伸びにくいぶん感度がよく、岩や魚の歯にこすれたときの傷にも強いため、針を結ぶハリスや、PEの先に結ぶリーダーによく使われます。
ダイワの解説でも、張りの強さゆえに結びにくい・リールに収まりにくいという面が挙げられています。
リールに巻いたときに巻きぐせが付きやすいので、太い号数を小さいリールに巻くのには向きません。
水より重く沈んでいくので、軽いルアーを底近くや中層まで沈めて探る釣りと相性のよい糸です。
反対に、水面近くでルアーをゆっくり引きたいときは、沈む糸に引っぱられてルアーが下がることがあります。
PE:細くて強いが、使い方に一手間かかる
PEは、細い繊維を何本も編んで1本にした糸です。

ナイロン・フロロカーボンの基本の結びと、PEにリーダーをつなぐときに使われるFGノットなどの考え方は、釣りの結び方で扱っています。
「号」と「lb(ポンド)」の読み方
号は太さ、ただしPEだけは重さで決まる
ナイロンとフロロカーボンの号数は太さの基準で、1号は標準直径0.165mmと業界の基準で決められています。
号数と太さは比例しない
1号が0.165mmなのに対して、2号は0.235mm、4号は0.330mmです。
2号は1号の2倍の太さではありません。
PEの号数は重さが基準
PEは1号が「9,000mあたり200g」の重さ(200デニール)と決められています。
基準の決め方が違うので、同じ「1号」でも、PEとナイロンでは太さも強さも別物です。
エギングでPE0.6〜0.8号という細い数字が使われるのは、PEが細くても強い糸だからです。
数字の出典は、Honda釣り倶楽部が紹介している日本の業界基準の表です。
海外のメーカーの糸は、この基準とは別の表示になっていることがあります。
lbは「どれくらいの重さで切れるか」の目安
lb(ポンド)は重さの単位で、1lbは約0.45kgです。
「4lb」とあれば、およそ1.8kgの重さに耐えられる強さが目安、という意味になります。
ナイロンやフロロカーボンでは、1号がおよそ4lb前後と表示されている商品が多く見られますが、同じ号数でもlbの表示は商品によって違います。
ただし、この数字はまっすぐ引いたときの強さで、結び目や傷のある所はそれより弱くなります。
釣り方ごとの糸の目安
| 釣り方 | 道糸(リールに巻く糸) | 先に結ぶ糸 |
|---|---|---|
| サビキ釣り | ナイロン2〜3号前後 | 仕掛けにハリスが付いている |
| ちょい投げ | ナイロン2〜3号前後 | 仕掛けにハリスが付いている |
| 穴釣り | ナイロン3〜4号前後 | なし(ブラクリを直接結ぶ) |
| アジング | フロロカーボン2〜3lb前後、またはPE0.2〜0.4号前後 | PEのときはフロロカーボンのリーダー |
| メバリング | フロロカーボンかナイロン3〜4lb前後、またはPE0.3〜0.4号前後 | PEのときはフロロカーボンのリーダー |
| エギング | PE0.6〜0.8号前後 | フロロカーボン2〜2.5号を1〜1.5mほど |
足元に落とすサビキと、底を引いてくるちょい投げは、扱いやすいナイロンで十分な釣りです(サビキ釣りのやり方・ちょい投げ釣り入門)。

1g前後の軽いルアーを使うアジングは、アジング入門で、初めはフロロカーボンだけで始める方法を紹介しています。
しゃくってエギを動かすエギングは、伸びの少ないPEが標準で、道具一式はエギング入門にまとめてあります。
リールの大きさ(番手)ごとに巻ける糸の太さと長さは違うので、糸を買う前にリールの表示を見ておきます(「ナイロン 3号-150m」のような表示の読み方は釣り竿とリールの選び方)。
初心者がナイロンから始めやすい理由
最初の1本をナイロンにすると、結びやすい・切られにくい・安い、の3つがそろうので、釣りそのものに集中できます。
PEは、細さと感度という大きな利点がある一方、リーダーを結ぶ手間と、糸絡みのトラブルへの慣れが要ります。
PEに替えるのは、「遠くへ投げたい」「ルアーをしゃくって動かしたい」釣りを始めるときで十分です。
サビキやちょい投げを続けるなら、ナイロンのままで困ることはほとんどありません。
軽いルアーの釣りでも、まずはフロロカーボンだけで始め、物足りなくなってからPEを試す順番なら、覚えることを1つずつ増やせます。
リールに糸を巻くときに気をつけること
糸のトラブルの多くは、釣り場ではなく、リールに巻くときの巻き方から始まっています。
巻き方がゆるかったり、糸がねじれたまま巻かれていたりすると、投げたときに糸がまとめて飛び出し、絡まりの原因になります。

- 糸を巻く量はスプールの縁から2〜3mm手前まで:ダイワの解説でもこの量が適正とされている。
巻きすぎは絡み、少なすぎは飛距離が落ちる原因になる - 糸の巻いてあるボビンの面を、自分の側に向けて置く:ダイワの解説では、こうすると糸のよれを防げるとしている
- 指で軽く糸を押さえ、張りを持たせながら巻く:ゆるく巻くと、投げたときに下の糸を巻き込みやすい
- PEを巻くときは、先に安いナイロンを「下巻き」として巻く方法もある:細いPEだけでは量が足りないときに、巻く量を調整できる
釣具店では、糸を買ったその場でリールに巻いてくれるサービスを用意している店もあります。
初めて糸を巻くときは、店で巻いてもらい、巻き上がった状態を見ておくと、次に自分で巻くときの見本になります。
PEの中には、10mごとに色が変わるものもあり、投げた距離や、ルアーを沈めた深さの目安として使えます。
糸の傷みと交換の目安
糸は、使っているうちに先端から数mの部分が岩や魚とこすれて傷みます。
指でなぞってザラつく、白っぽく濁っている、ちぢれているところがあれば、その部分は切り落としてから結び直します。

栃木県立馬頭高校水産科の強度試験の報告では、傷をつけたナイロンは平均の強さが新品のおよそ半分に落ち、フロロカーボンはほとんど変わらなかったという結果が出ています。
- 糸はどれくらいで巻き替えればいいですか?
-
釣りに行く回数や釣り方で変わるため、決まった期間はありません。
先端を切り詰めて糸が短くなってきたときや、全体に色あせ・傷が目立ってきたときが、巻き替えを考える目安です。
ナイロンは水を吸って少しずつ弱る性質があるので、しばらく使っていなかったリールは、出かける前に先端を引っぱって確かめます。
- PEにリーダーを結ばず、そのまま使ってもいいですか?
-
使えないわけではありませんが、PEは岩や魚の歯にこすれると切れやすく、針やスナップに直接結ぶと結び目が滑って抜けることがあります。
そのため、先にフロロカーボンなどのリーダーを結んで使うのが一般的です。
リーダーを結ぶのが難しいうちは、PEを使わない釣り方から始めるのも一つの選び方です。
- 古い糸や切った糸は、どう捨てればいいですか?
-
釣り場に捨てず、持ち帰って、住んでいる自治体の分け方に従ってごみに出します。
水産庁の漁港の釣り利用に関するガイドライン(案)でも、仕掛けや釣り糸の放置が漁港の課題として挙げられています。
落ちた糸は、鳥や船のスクリューに絡むこともあります。
迷ったときは、「何を投げるか」から決める
糸の素材で迷ったら、その日に投げるものを思い浮かべてください。
仕掛けとエサならナイロン、1g前後の軽いルアーならフロロカーボン、エギや遠投のルアーならPEです。
太さは、その釣り方の目安の真ん中から選び、切られることが続いたら1段太く、アタリが遠いと感じたら1段細くと調整していけば、自分の釣りに合う1本に近づきます。
関連記事
- 関連記事:➔ 釣り竿とリールの選び方 ― 初心者向けの長さ・硬さ・番手
- 関連記事:➔ 釣りの結び方 ― 初心者が覚える3つの結びとやり方
- 関連記事:➔ 釣りにライフジャケットは必要? ― 着用が推奨される理由と選び方


コメント